【神社のお話】神社ってなに?
神社って何のために作られたのか?
・ 『古事記』『日本書紀』
オオクニヌシがスクナビコナをパートナーとして日本の国土を開発する。その最中にスクナビコナが常世の国(あの世)へ去ってしまう。これに対してオオクニヌシは海辺で嘆き悲しむ。そんな彼の前にオオモノヌシが海を照らして現れる。
オオモノヌシは大和国(奈良県)の三輪山に自身を祀れば国造りはうまくいくだろうと教える。
大神神社の始まり。→神の領域の確保。
・ 『常陸国風土記』
谷の葦原を開墾していると、蛇の姿で角を持った夜刀の神が集まってきて耕作の邪魔をする。怒り矛で髪を山へ追い払う。そして里との境界に杖を立てる。
ここから先は神の土地。こちら側は人が田畑を作る。私は神を祀る神主になるので、祟らないでほしい。→人間が侵犯しない・できない場所。祭祀者を明確にする。
神社が作られる以前は祭場に神を迎えて祭を行っていた。
→神の場所があればいつでも神に祈りを捧げられる。違う神様を招いてしまう心配もない。神の領域がしっかりと分れば、侵犯してしまい祟りを受ける心配がない。
【神社が作られた目的は?】
① 人間が侵犯しない、神のための領域の確保。
② 神の方獅子、神の意志を知るための場所。
③ 祭祀者を明確にすることで、その力を誇示するため。
神社にある建物って何?
神社の境内に一歩足を踏み入れると、色々な建造物が目に飛び込んでくる。
神社の入り口でもある鳥居、手を洗う場所?手水舎、御朱印やお守りなどを拝受する場所・社務所、何かを守ってる?狛犬、御賽銭を入れて拝む場所?拝殿、などなど色々とある。
何を見ればいいのか?
あれらの建物の意味は何なのか?
建物の意味を知るとまた違ったものが見えてくる。
基本的な最低限の神社の参拝ルートに沿って説明しようと思う。
神社に行き、最初に目にするのは『鳥居』だろう。
・ 鳥居は神社のシンボル。境内と俗世とを分かつ境界線を示す結界。
・ 参拝者を参道にいざなう聖なる門。
・ 一の鳥居、二の鳥居と複数ある神社もある。
・ 起源は古代インドや中国・韓国から伝わったという説もある。
簡単に言うと、鳥居は神社の入り口で、神域と俗世を分ける境界の門の役割があるよ。
鳥居をくぐると、神社にもよるが『門』が建っている。これを『神門』と言う。
2階建てのものを『楼門』と言うが、正確には2層目のみに屋根があるものが楼門であって、1層にも屋根があるのは『二重門』と言う。
神門の両脇には神社を守る神様の像が安置されることがある。この神様の像のことを『随身(随神)』と言い、門のことを『随身(随神)門』と言う。
神門は神の領域への入り口。境内や社殿を回廊や垣で囲っている場合がある。
この理由は【神々の領域を囲うことで、そこが聖域と認識させるため】としている。
上の写真の駒形神社も垣で囲われ、その中に社殿があるタイプの神門だった。
鳥居は神社の入り口で、神門は聖域への入り口だね。神社では随神だけど、お寺だと仁王像が守ってるよ!回廊や垣で囲っているのも理由があるんだね。
境内に入ると手水舎がある。『ちょうずや』『てみずや』とも読む。
参拝前に手と口を清める場所。
現在は某感染症の影響で上の写真のように水を止めている場所がほとんど。代わりにアルコール消毒を置いていることもある。某感染症が収束しなければ、風情もへったくれも無くなってしまう。
手と口を清める理由は、日本の神様が穢れを嫌うから。穢れと言えば、伊弉諾と伊弉冉の伝説からきているとも言われているよ。伊弉諾が黄泉の国の穢れを清めるために、海で禊をしたんだって。
大人数が同時に禊を行うことは難しいから、手と口を清めることが代わりなんだってさ。
参道の脇には神楽殿(舞殿)が建てられていることもある。
参道の真ん中に建てられていることもある。
本殿の御祭神に舞を捧げる場所なので、本殿に相対する位置にあるのが本来の形。神様に舞を見ていただくために向かい合って立っていることが多い。
高さは結構高い位置にあるが、理由は神様が居られる本殿と同じくらいの高さにある。神様に配慮しているため。神様が神楽を見やすくするために、高さも上手に合わせて作られている。
神楽殿の建物をよ~く観察すると、建物の間に柱がない。遮るものが無くて、神様が見やすいようにしてあるんだ。神楽を本殿の前で演じる場合は、神様に向かって演ずるから、参拝者は演者の後姿をむることが多いよ。お祭りなんかの神楽舞によく見られるよね!
さらに進むと拝殿が見えてくる。拝殿の前には狛犬が一対控えている。境内を守っている。
狛犬の役割は魔除けが主な役割。阿吽を表現しており、口を閉じているのが『吽』で、開けているのを『阿』。狛犬のルーツは古代オリエント文明まで遡る。
狛犬の多くが参道に配置されるようになったのは室町時代から。このころから狛犬にはっきりとした特徴が生まれ、製作者・神社の在り方によって形状が異なるようになる。
稲荷神社のキツネの像は、神様の使いで、神使(しんし)と呼ばれるよ。霊獣は他にも色々。オオカミや八咫烏が有名かな?変わったところでナマズとか鳩とかが居るよ。
拝殿の周りや脇には、摂社・末社と呼ばれる、小さな社が配置されている。
摂社と末社には厳密な区別はないとされているが…。
摂社→末社より大きい。本殿の御祭神と関わり合いのある神が祀られている。
末社→それ以外の神が祀られている。関係のない神も祀られている。
摂社と末社の違いを分かった上で参拝すると面白いものが見えてくるよ。例に挙げると太宰府天満宮なんかは面白い。本殿には学問の神・菅原道真公がいて、摂社には奥方の宣来子や道真の家族や師匠が祀られているよ。末社は道真公とは関係のない神様や、お菓子業界の会員によって作られた社もあるんだ。
神社に関係ないけど、道真公が主人公の『応天の門』は歴史漫画として面白いので、お勧めするよ。
最後に本殿・その手前の拝殿に繋がる。
本殿→神の居場所を指すことが多い。御祭神が宿る御神体を安置している社殿のこと。
拝殿→参詣者が参拝を行う場所。天井画が描かれていることもある。
二つを簡単に説明するとこうなる。
少し詳しくすると、拝殿は『御祭神を礼拝するための、神具や祭具が着座するための建物】となる。
本殿は【神が居る場所なため、境内の中でも豪華な作りになっている】ことが多い。
日本古来の考え方で、神聖なモノ・高貴なモノは目にするのは失礼だという価値観がある。だから拝殿が大きく、本殿を隠すように建てられている。本殿は豪奢な作りになっているけど、神様を喜ばせるものであって、本来は目にすることは不可能に近いよ。
上の他にも石灯籠や社務所がある。
社務所は神職が事務活動を行う建物。神札などの授与所も兼ねている。神社によっては絵馬殿と言う、古い奉納絵馬を飾る社殿もある。昨日投稿した小田子不動堂の絵馬も、絵馬殿から見つかったとされている。歴史的な発見もある。
石灯籠の他にも、記念碑や鎮魂碑などもある。
結論
一般的な神社のことを調べてみたが、色々と見どころが満載である。
どんな神社にどんな神様が居るのかによっても、参拝時の楽しみ方が増えてくる。
神社は確かに宗教的な建造物かもしれない。しかし視点を変えたり、少し知識を身に付けるとそれ以外の見方ができてくる。社殿の造りによって当時の宮大工の技量の高さや、建立された時代の背景が見えてくるかもしれない。
絵馬殿に奉納された絵馬や、拝殿の天井に描かれた天井画から当時の文化や、地方などの神社だと民衆文化についての説明もあったりする。
戦火や天災などで焼失してしまった神社もあるが、参道やそこに居る神様は建立当時から見守ってきている。またそこで語られてきた伝承や神楽は、時代に合わせて変遷してきているが変わらないものも多くある。何百年も昔の空気を感じられる場所・日本古来の在り方やしきたりを学べる場所、それが神社だとワイは考えている。
時々来訪した神社や御朱印のことだけでなく、こういった神社に関したことや、日本・日本人のことについても書いていきたいと思う。