南貞院/小さい境内だけど、古い資料がある?
道中道に迷い加茂神社に行きつく。参拝後の帰り道に参拝。結果的に加茂神社も参拝できてよかったみたい?
基本情報
寺院名 : 紫雲山 南貞院
読み方 : しうんざん なんていいん
宗派 : 浄土宗
住所 : 青森県弘前市高杉山下208
御朱印 : あり
御本尊 : 聖観世音菩薩
建立年 : 1673~1681年
創立者 : 南貞
御詠歌 : はるばると もうでくるまの わがこころ なもたかすぎの もりにとどまる
その他 : 津軽三十三観音巡り4番札所
歴史
当初は天ヶ崎地区にあり【南貞庵】と呼ばれていた。
現在の地には対象に入ってから移転されている。移転するまでの間は荒廃していたが、千葉勇法・小笠原恵信師などの努力により復興している。
札所になったのは昭和42年。村民の強い要望による。それまでの札所は加茂神社だった。
当初札所として設定されていた時は、加茂神社は11番だった。しかし寛延年間には4番となっている。
明治時代に入ると神仏分離令により、四ツ谷地区に住む高杉家が本尊を仮に保管。後に加茂神社に納められ。11番札所【高杉観音】と呼ばれ親しまれてきた。
嘗て札所があった加茂神社の境内には、札所のころの名残として拝殿付近に【正観音】と書かれた石碑が残る。
御朱印について
・ あり
・ 津軽三十三観音巡り第4札所
・ 無人朱印所が境内にあり
・ 初穂料200円
御祭日
・ 9月18日 : 供養祭
※この日のみ観音堂の中を拝観可能
御本尊についてあれやこれ
【聖観音菩薩】
読み方 : しょうかんのんぼさつ
梵名 : アーリヤ・アヴァローキテーシュヴァラ
真言 : オン アロリキャ ソワカ
御利益 : 安産、子授け、子育安全
・ 大乗仏教の代表的な菩薩である観音菩薩の基本的な姿
・ 阿弥陀如来が変化した御姿
・ 阿弥陀如来の化仏が載かれた宝冠を身に付けている
・ 一般的な御姿は左手に蓮華を持ち、右手を開いた形
・ 救う相手によって姿が変わる
・ 悩める者を救い、大いなる慈悲の心で人々を癒す
・ 世間の人々の苦しみや悩みの声を聴き、直ちに救済する
境内内に祀られる菩薩
・ 阿弥陀如来
阿弥陀如来についてあれやこれ
【阿弥陀如来】
読み方 : あみだにょらい
梵名 : アミターバ・アミターユス
真言 : オン・アミリタ・テイセイ・カラ・ウン
御利益 : 苦難除去、現世利益、病気平癒、厄除け、極楽浄土への往生
その他 : 阿弥陀籤・十八番・他力本願の語源
・ 大乗仏教における信仰対象である如来の一尊
・ 西方にある極楽浄土の仏国土の教主
・ 因みに東方は薬師如来
・ 生ある者を救う仏
・ 死後衆生を極楽浄土に往生させる願いを立て、それを実現しているとされている
・ 阿弥陀如来を念仏すれば、次世に極楽浄土の宝池の蓮花の上に往生し、無限の生を享受できると約束されている
・ 阿弥陀如来が日本に伝来したのは奈良時代
・ 平安時代の貴族を中心に信仰された
・ 釜奥田時代になると、法然・親鸞・一遍らによって信仰が民衆へ
・ 浄土教宗派として『浄土宗・浄土真宗・時宗』などが成立していった
・ 中尊寺の金色堂堂内の諸像のうちの一つ
・ 鎌倉大仏も有名
石碑
・ 津軽地方に現存する浄土真宗関係の中でも最も古い年号が刻まれている
・ その昔近くには八重の森があり、曹洞宗のお寺があったが、弘前城が築かれた後直ぐに茂森に遷された
・ そのお寺にあった墓石などはそのまま残された
・ 昭和初期に11基確認されていたが、現在は4基
・ この石碑も同じく残されていたが、南貞院に遷され祀られたもの
・ 石碑の面には関東地方の板石塔婆と同じような形式で刻まれているとか
・ 『南無阿弥陀仏』の名号と【阿弥陀三尊仏の種子・光明遍照の観無量寿経の掲文】などなど。ここから浄土宗信者のお墓であることがわかるとか
・ 正和元年頃に高貴な方の女性の35日法要に建てられたとのこと
・ 約700年以上前から存在している
境内の様子
・ 道路に面しているため山門や鳥居なども特にない
【御社殿・御拝殿】
階層 : 平屋
材質 : 木造
建築様式 : 流造
屋根の特徴: 平入
屋根の材質: 鉄板・トタン
・ 簡単な造り
・ 内部は供養祭の時以外は御開帳されていない
・ 社殿前の燈籠は新しい感じがする
・ 昔は燈籠は無かったもよう
・ 色剥げは少ない
・ 豪雪地帯のため、社殿は石階段の上なのかな?
・ 観音堂が近いため身近に感じられる
【その他】
・ 観音堂の隣に小堂や石碑が点在
・ 【観音堂】と刻まれた石碑もあり
・ 入り口付近に地蔵堂(施錠中)の建物もある
【朱印所】
・ 同じ敷地内にあり
・ 初穂料は200円とのこと
加茂神社について
【歴史】
大同2年(807)に、坂上田村麻呂の子供である花輪丸が堂宇を建立して聖観世音を奉安したことから始まる。
札所に指定された際には11番だったが、寛延年間には4番札所となっている。
加茂神社は『高杉の森』と称される場所にある。樹木に覆われた場所に、現在でもかつての札所としての名残として【正観音】と刻まれた石碑が残る。
加茂神社の境内の様子
【一の鳥居・二の鳥居】
笠木 : あり
島木 : あり・反り増しあり
木鼻 : あり
楔 : あり
額束 : あり
その他 : 柱の前後に稚児柱がある
・ 共に明神系鳥居の発展形の【両部鳥居】
・ 一の鳥居は色が剝がれていることもなく、堂々とした新しめの朱色の鳥居
・ 二の鳥居は所々朱色が剥がれ、一の鳥居に比べて全体的に細い
・ 一の鳥居の方が新しく、二の鳥居は前の鳥居なのかな?
【参道・御社殿周り】
・ 無人だが綺麗にされている
・ 参道から少し外れると………森だな
・ 何か出てきそうな雰囲気
・ 鳥居をくぐり真っすぐの一に御社殿
・ 無人だが草がボーボーに生えておらず、パヤパヤっと草が生えているだけで歩きやすい
・ 森の中の小さな神社
・ 森の中から何かが出てきそうな雰囲気
・ 参拝時に何も出てこなくて本当に良かった
・ 時々鳥の鳴き声は聞こえるけど…
【狛犬】
髪・眉 : 前髪がカールして眉は見えず。
口・歯 : 口腔内が赤色。四角い歯。歯並びが良い。牙も上下に2本ずつの合計4本で、先も尖っている
髯 : 顎髭がある。短く毛先がカールしている
耳 : 下がる伏せ耳
目・鼻 : 真ん丸眼。高さの無い平べったい獅子鼻
毛・尾 : 立ち尾。毛並みは体に張り付いている
手足 : 手足は長め。太すぎず。それでいて立派な爪を持ち合わせている
姿勢 : 腰をしっかりと落としたお座り
・ 全体的に毛の長さは短め
・ 見た目以上に瞳が真ん丸
・ 吽形の狛犬の口が半開きに見える
・ 強くかみしめている風に見える為、怒っているのかな?といった雰囲気を出している
【狛犬・御社殿手前】
髪・眉 : 前髪はカールして眉が見えない。首のあたりまでの長さの髪の毛。もみ上げは毛先がカールしている。後ろ髪はカールせずに流れている
口・歯 : 先の狛犬同様に口腔内が赤色。歯は四角く、歯並びは綺麗。上下に2本ずつ牙がある。牙は丸みがある
髯 : 短い顎鬚。口周りにカールした髯が生えている。短い
耳 : 伏せ耳。耳先が上を向いているが伏せ耳
目・鼻 : 楕円形の眼。瞳は丸。ぷっくりとした獅子鼻
毛・尾 : 尾はお尻に乗っかっているような立ち尾。毛並みは短く体に流れるようにして張り付いている
手足 : 短い手足。短いががっちりとした手足
姿勢 : 飛びかかろうとしている姿勢
・ 黒石神社とかの狛犬に似た腰を上げた姿勢の狛犬
・ 青森県内の南部地方はお座りが多いが、津軽地方は腰を上げた姿勢が多い
・ 出雲式とも違う狛犬
・ 動きのある狛犬
・ 短足。………だけどそこがかわいい
・ 吽形の狛犬は犬よりも獅子のような見た目
※黒石神社の狛犬
【ウマ】
・ 御神馬
・ 昭和58年の日本海中部地震で一度倒壊した
・ その後昭和60年に再建されたとのこと
・ ウマは五穀豊穣や祈雨・止雨の祈願や御利益があるとか
・ 神の願いを届ける神獣
・ 前足を片方上げた姿。躍動感がある
【石碑】
・ 『合併二十周年記念碑』『加茂神社改築記念碑』
・ 『植林記念碑』や『御即位記念碑』
・ 『飛龍宮』の石碑の傍らには龍神様と女神(?)の像もあり
・ 『高杉平治翁』の胸像
・ 『高杉相撲愛好会記念碑』
・ 広く無い境内には数多くの記念碑があった
・ 相撲記念碑があるくらいに津軽地方は相撲が盛んだったのだろう
【御社殿・御拝殿】
・ 御社殿は宝形
・ 御本殿は流造
・ 屋根はともに赤い色でトタンかなぁ?
・ 御社殿は木造と漆喰
・ 御本殿は木造
・ 御社殿の屋根の上には擬宝珠っぽいものがある
まとめ・感想
最初は南貞院を普通に目指し、ナビに住所も入力して車を走らせた………走らせたのだが、普通に道に迷う。近所の方に聞きながら車を走らせたのだが………何故か農道に出る。明らかな生活道路を抜けると…加茂神社!
せっかくだから参拝してから向かうことに(どのあたりか検討もついていないけど)。
参拝していると境内隣の民家の方に話しかけられる。「ここでスタンプ無いよ」と。御朱印関係についてなのだろう。ここぞとばかりに霊場である南貞院についてお聞きすることに。「お!?霊場のこと調べてきたのかい?鳥居抜けて少し走らせると見えてくるすけぇ」とのことで。
おじいさんにお礼をした後に、やっとのことで南貞院に到着。
本当に道路に面したところにある霊場。何でわからんかったんだ?加茂神社目指した方がわかりやすいかも?
小さいながらも、青森県の浄土宗の貴重な資料も拝める凄い場所なのだろう。無人ながらも綺麗な場所だった。元々加茂神社が札所だったから、南貞院だけでなく加茂神社を参拝するのも良いのかもしれない。