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厳鬼山神社(十腰内観音堂)/鬼伝説が残る場所

数年前に参拝したが、その時は霊場の一つとは知らなかった。
何時もならこの時期は大雪で大変なことになっているが、今年は雪が少ない(というよりも無い)こともあり、この時期でも津軽方面の霊場巡りができる!

基本情報

神社名  : 厳鬼山神社
読み方  : がんきさんじんじゃ
霊場名  : 十腰内観音堂
住所   : 青森県弘前市十腰内猿沢78-1

御朱印  : あり・御朱印は神社隣の民家より
御本尊  : 十一面観音菩薩
社格   : 村社
建立年  : 延暦15年(796)
創立者  : 不詳
その他  : 津軽三十三観音霊場第5札所、

歴史

元々は西方寺観音院として開かれたのが始まり。
大同2年(807)に坂上田村磨が東夷東征の戦勝祈願として社殿を再建したとされる。
元来は津軽国一之宮である岩木山下宮だったとされる。岩木山親交の信仰の中心的な祭祀が行われていたが、寛治5年(1091)に岩木山神社が勧請されると百澤寺に祭祀が移された。
歴代領主に崇敬され文安5年(1446)に火災により社殿が焼失する。
寛正4年(1463)に長見氏により再建された。
慶長2年(1597)に津軽為信が社殿を修復。
慶長9年(1604)に津軽信建が鰐口を奉納。
元禄4年(1692)に火災で焼失した社殿を、津軽藩四代目藩主・津軽信政により再建。
明治時代初頭の神仏分離令により別当寺院だった【厳鬼山西方寺観音院】が廃寺となる。
明治6年(1873)に【厳鬼山神社】に社号を改称し村社に列する。
現在の本殿は元禄4年(1692)に建立された西方寺観音院の観音堂だったもの。

当神社の文化財について

【御本殿】
階層   : 平屋
材質   : 木造
建築様式 : 寄棟造り
屋根の特徴: 平入
屋根の材質: 鉄板葺   
・ 青森県重宝
・ 江戸時代中期の津軽地方の小仏堂御堂建築の典型
・ 内部の厨子と軒札と共に指定されている
・ 指定されたのは平成5年(1993)

【鰐口】
・ 青森県重宝
・ 厳鬼山神社社宝
・ 慶長9年(1604)の在銘
・ 初代弘前藩藩主・津軽為信の嫡男である津軽信建が寄進したもの
・ 銅製
・ 昭和38年(1963)に指定

【大杉】
・ 青森県指定天然記念物
・ 推定樹齢1000年
・ 樹高40m・幹周10m・直径21.1cm・厚さ12cm

御祭日

・ 例祭  : 8月17日

御祭神

・ 大山祇神

御祭神の神格と御利益

【大山祇神】
・ おおやまづみのかみ
・ 古事記では【大山津見神】と記される
・ 日本書紀では【大山祇神】【大山積神】【大山罪神】と記され、読みは同じ
・ 別名として『ワタシ大神』と言い、『海の神』の神格も持つ
・ 瀬戸内水軍の守護神
・ 海の国である日本国において、海軍からの崇敬が篤い
・ 日本の代表的な山の神
・ 山の神の総元締め
・ 民俗信仰においては山の神の周辺で暮らす人々の祖霊
・ 農業の場合は『田の神』
・ 山の民にとっては『鍛冶の神』
・ 青森県内では【岩木山神社】で祀られていることでも有名

《神格》
山の神、海の神、酒の神、軍神、武神

《御利益》
商売繫昌、試験合格、家庭平安、安産、厄除け、農産業種・山林業種・鉱山業守護、漁業守護、航海守護、商工業守護、酒造業守護

神社に残る伝説

・ 弘前には数多くの鬼伝説が残る
・ 厳鬼山山麓にも悪鬼が居た
・ 当神社は悪鬼を征伐できたことのお礼で建立されたという伝説が残る
・ 悪鬼とあるが、悪人だったとも言われている
・ 津軽地方には『鬼コ』呼ばれるものがある
・ 鳥居や境内などに『鬼』が居る

境内の様子

【一の鳥居・二の鳥居】
笠木  : 反り増しあり
島木  : あり・反り増しあり
木鼻  : あり
楔   : あり
額束  : あり
その他 : 前後に稚児柱がある
・ 明神系からの発展形である【両部鳥居】
・ 神仏習合の名残
・ よく見られるタイプの鳥居
・ 無人の神社ではあるが綺麗な鳥居

【三の鳥居・四の鳥居】
笠木  : 水平
島木  : なし
木鼻  : あり
楔   : あり
額束  : あり
その他 : 笠木の断面が斜め
・ 神明系鳥居の【宗忠鳥居】
・ 一の鳥居・二の鳥居度鷹揚に立派な造り
・ 色剥げもなくきれい

【参道】
・ 一の鳥居からして堂々としている
・ 鳥居からまっすぐ進むと、二・三・四の鳥居をくぐり、御社殿へと続く
・ 枯れ葉は落ちているがよく整備されている
・ 末社・摂社に続く道は自然の道で歩きにくいが、御社殿へと続く道は歩きやすい方

【手水舎】
・ 龍神様
・ 水は綺麗で冷たい
・ 水に勢いがある
・ 水受けは苔が生えて雰囲気が出ている
・ 何なら龍神様も青緑

【四の鳥居近くの狛犬】
髪・眉 : 髪や眉らしきものは見えない。つるつる
口・歯 : 唇があり、四角い歯が並ぶ。大きな牙が2本ある。口腔内には舌も見える
髯   : 髪などと同じくつるつる
耳   : 横に伸びている。耳というよりも羽のようにも見える
目・鼻 : 楕円形の目で円い瞳がある。小顔だが、大きな獅子鼻がある
毛・尾 : 全体的につるつる。尾はお尻の上にチョコンと乗っかっている。尾はカールしている模様
手足  : 手足は短い。シワが見える。肉付きが良いのか?
姿勢  : お尻を上に向けた威嚇するような姿勢
・ 独特な顔つきをしている
・ 犬というよりもサルというか何と言うか…
・ 見た感じヨーダに見えたが…
・ 岩木山神社の石柱にしがみ付く狛犬に似ている

《厳鬼山神社の狛犬》

《岩木山神社の狛犬》

【御社殿前の狛犬】
髪・眉 : カールした前髪があり、眉は隠れている
口・歯 : 唇は無く真一文字に伸びた口。歯は見えずに唖形型には牙だけが見える
髯   : 波の様にカールした顎髭がある。耳の下まで髭がのびている
耳   : 伏せ耳で横に伸びている
目・鼻 : 獅子舞のような見た目の鼻。目は楕円形で中心に小さいが瞳もある
毛・尾 : 毛はカールしてからだに張り付いている。尾は天に伸びるような立ち尾
手足  : 手足は力強さを感じる太さ。爪も大地を踏みしめている
姿勢  : 若干前のめりな雰囲気のお座り
・ 高城八幡宮や黒石神明宮の狛犬に似ている…気がする
・ こちらはしっかりとした毛並み
・ 立派な髭を持っておられて
・ 愛嬌は最初の狛犬の方がある。なんだか見た感じ睨んでいる様にも見える
・ 唖形型の足元には大きな毬
・ 毬に爪が食い込んでいる気がするが

《厳鬼山神社の狛犬》

《黒石神明宮の狛犬》

《高城八幡宮》

【石碑】
《信建の碑》
・ 一の鳥居をくぐってすぐの先にある
・ 津軽信建は津軽為信の長男
・ 石田三成が烏帽子親(元服儀式の際に加冠を行う者)
・ 弟が津軽藩二代目藩主・津軽信牧
・ 関ヶ原の戦いでは西軍。為信は東軍。真田家や九鬼家等と同様に『家中二分による生き残り策』をとっている
・ 信牧の側室は石田三成の娘の辰姫。正室は徳川家康の養女である満天姫。徳川との縁により、弘前藩には東照宮が存在していた。現在の東照宮は黒石神社にある
・ 戦後に石田三成の遺児を津軽藩で保護し、後にその子孫は津軽家の重臣として残っていく
・ 碑の説明では「豊臣方に付き、三成に殉じた。津軽氏の系譜から消された」とある
・ しかし戦後も徳川家康と面会し、御所にて参内し官位を授けられている
・ 為信に先じて亡くなっているが、元々は後継者としての活動も行っている

《招魂碑》
・ 石碑の上部には平和の象徴である鳩
・ 平和記念

【ウマ】
・ ウマの石像
・ ずんぐりとした南部駒のような見た目
・ 神の遣い
・ 台座には「四十二才記念」

【御社殿前の狛犬?】
・ 犬には見えないが…
・ 丸みを帯びた形状をしている
・ 顔の造りも簡単な感じで、一番歴史を感じる
・ 犬というよりもカワウソのように見えてしまう
・ 口角を挙げて笑っている様にも見える

【摂社・末社】
・ ぬかるんでいて近づけなかった
・ 直前の鳥居は、三の鳥居・四の鳥居同様の形状
・ 神明系鳥居の【宗忠鳥居】
・ 小さいながらもしっかりとした神社の造りをしている

【大杉】
・ 先述の様に県内の天然記念物
・ 大きい
・ 写真の写りかたにより、後光が差している

【御社殿・御本殿】
階層   : 平屋建て
材質   : 木造
建築様式 : 入母屋造
屋根の特徴: 平入
屋根の材質: 鉄板葺
宮彫り  : なし
木鼻   : なし
・ 宮彫りや木鼻と言った装飾は見られず
・ 外観は質素な見た目だが、みすぼらしいといった雰囲気はない
・ 御社殿前の狛犬は長い年月を見守っていたのだろうか?
・ 千鳥破風がついている
・ 懸魚が雲のような文様になっている
・ 室内へもお邪魔してきた
・ 安定のストーブ。この上でグツグツト煮たおでんがうまい。青森なら生姜味噌がなぁ…
・ 外観周りと同様に内部も整理されている。埃っぽい・畳がザラザラした感じはない
・ お参りをし、写真を撮っていると視線が…
・ 赤鬼。鬼伝説が残る神社に相応しい
・ 御本殿の詳細は上記。屋根の色が御社殿と違い、屋根の造りも違う
・ 裏手に周ろうにも、自然保護と熊的な問題があり断念
・ 御社殿とつながっているのではなく独立した建物
・ 雪が恋のようにも見える垣。これすらも覆うのが青森の雪害
・ 管理者も年配になりつつある霊場で、雪害の問題もある地域柄、できることは少なくないが頑張ってほしい

御朱印について

・ あり
・ 二種類ある
・ 【厳鬼山神社】【津軽三十三観音霊場】のもの
・ 二種類共に自身で押印
・ 初穂料は300円
・ 場所は一の鳥居を正面に右に進んでいくと見える民家でいただける

まとめ・感想

岩木山の周りをぐるりと通る道路から少し外れた場所に佇むのが当神社である。細い道をグネグネと進むと見えてくる。周りに何もないと思いきや、福祉施設が真向かいにあるという立地。施設の方々は何かに守られているような御利益があるのだろうか?
境内は周囲を木々に囲まれているが、木漏れ日により、そこまで鬱蒼とした雰囲気はない。木々の一本一本が高いのが印象的。

無人(近くに管理されている方がいるかもしれない)なのだが、境内や拝殿内は綺麗にされている。枯れ葉などが落ちて入るが、歩きにくい・滑りやすいという感じはしなかった。雪の有無も大きいが、無い状態なら参拝しやすい境内だろう。参道は階段の他にも、ゆるやかな坂道になっている箇所もあるため車いすの人でも参拝できるかもしれない。


鳥居も色剥げなどもなくきれいに整備されていた。狛犬も全部で6対確認できたが、どれもこれもが個性あふれる表情をしていた。神社参拝の一つの魅力として狛犬の表情を見て歩くのも面白いかもしれない。

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