志和稲荷神社/三大〇〇。三つとは限らない
元々は参拝する予定にはなかったが、何かの縁だったのか近くの神社を参拝した際に、こちらの神社の存在を知ることに。
神社の鳥居に『日本三大〇〇』という文字が!三大〇〇というが、3つ以上が存在する。期待と面白さを求めて参拝することに。
基本情報
神社名 : 志和稲荷神社
読み方 : しわいなりじんじゃ
住所 : 岩手県紫波郡紫波町升沢字前平17-4
御朱印 : あり
建立年 : 天喜5年(1057)
創立者 : 源頼義・義家が勧請
旧社格 : 県社
その他 : 日本三稲荷の一つ…の候補
歴史
源頼義・義家が安倍何時俗の征討のため下向。志和陣ケ岡に滞陣中、祈願のために勧請された。
その後藤原秀衡が菅領のとき藤原市の一族である、樋爪俊衡・藤原季衡により再建された。
正平年間(1346~1470)に足利市の一族である斯波家長が志和城主の時に、社殿を新築する。その後斯波氏累代の崇敬篤く、七代目詮直の代に再建された。
天正16年(1588)に斯波氏によって南部氏の領地となる。南部氏代々の祈願所として歳々に直拝され、社殿法納普請を重ねられたほか、盛岡から五里の間【志和稲荷街道】の参道も開かれた。
大正7年(1918)に県社の社格に列せられた。
昭和32年(1957)に神社本庁の別表神社となる。
御祭日
例祭日 : 5月5日
御祭神
・ 宇迦之御魂神
・ 猿田彦大神
・ 大宮龍売大神
御祭神について
【宇迦之御魂神】
・ うかのみたまのかみ
・ 八百万の神の中で代表的な食物神
・ 全国の稲荷神社で祀られる神様
・ 通称『お稲荷さん』
・ 『衣食住の太祖にして萬民豊楽の神霊なり』と崇められている
《神格》
穀物神、農耕神、百貨店の神、タバコ屋の神、麻雀の神、諸産業の神
《御神徳・御利益》
金運向上、産業振興、商売繁盛、家内安全、芸能上達、五穀豊穣、諸願成就、交通安全
【猿田彦大神】
・ さるたひこのおおかみ
・ 国津神
・ 天孫降臨神話に登場する
・ 猿とも天狗とも言われる怪奇な風貌をしている
・ 天村を道案内した故事から、導きの神・道の神とされる
・ 天宇受売命(アメノウズメノミコト)と結婚したことから縁結びの神としても有名
・ 関係ないが火の鳥によく出てくる猿田彦
《神格》
道の神、導きの神、国土の守護神、太陽神
《御神徳・御利益》
延命長寿、開運、交通安全、商売繁盛、殖産興業、災難・方位除け、縁結び
【大宮龍売大神】
・ 大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)
・ 宮殿の平安を護る女神
・ 天照大神に侍女として仕えた
・ 麗しき言葉を駆使して、君臣の間を和らげる働きをした
・ 市の神
《神格》
食物神、市の神、調和を図る神
《御神徳・御利益》
商売繁盛、農業守護、家内和合、病気治癒、厄除開運、接客業守護
宇迦之御魂神について
【八百万の神の中でも代表的な神】
・ 伊邪那岐と伊弉冉が『国生み』で大八島を作ったあと、上により気力が無い時に生まれたのが、宇迦之御魂神
・ 【宇迦】は穀物や食物の意味がある
・ 性別不祥だが、古来より女神信仰されている
・ 【宇迦(ウケ)】は食物の古形。【御】は神秘・神聖。【魂】は霊。【宇迦之御魂神】は《稲に宿る神秘な霊》
【稲荷信仰】
・ 稲荷信仰は奈良時代に発生
・ 和銅4年(711)に稲荷山三ヶ峰に稲荷神が鎮座した、と伏見稲荷大社に伝わる
・ 信仰のルーツは当時一帯に住んでいた豪族の秦氏
・ 秦氏の氏神として、穀霊神・農耕神として祀っていた
・ 勢力拡大に伴い、稲荷信仰も拡大していく
・ 稲荷は『稲生る』が訛ったという説
・ 信仰の核は【百穀の首座にある稲霊】
・ 後に稲荷神は神仏習合により、様々な民間信仰と結びつきながら、日本の民族宗教の中において代表的な霊威神として確立
稲荷様とキツネさん
・ お稲荷様と言えばキツネ
・ このキツネは『目の見えない白狐』とされ、稲荷神の眷属
・ 自然界においてキツネは冬場は冬眠する。春になると人里へ下りてくる
・ 山から人里へ下りてくることから、山の神=豊穣をもたらす神
境内の様子
【鳥居】
笠木 : 反り増しあり
島木 : あり・反り増しあり
木鼻 : あり
楔 : あり
額束 : あり
その他 : 柱の上部に台輪がある
・ 明神系鳥居の発展形である【台輪鳥居】
・ 入口の鳥居は石製で、二の鳥居は木製で朱色の鳥居
【三の鳥居】
笠木 : 水平
島木 : なし
木鼻 : なし
楔 : なし
額束 : あり
・ 神明系の鳥居に特徴ではあるが、どの系統の鳥居にも当てはまらず
・ 【黒木鳥居】や【靖国鳥居】の特徴を持つが、そのどちらでもない
【社殿前の鳥居】
・ 社殿に繋がる鳥居は台輪鳥居
・ その鳥居に掲げられている額束には【日本三社】とある
・ 諸説あるが、日本三大稲荷様に数えられているからとのこと
・ 上記のことから【紫波のお稲荷さん】と呼ばれ親しまれている
・ 茅の輪くぐりがあった。筆者は勿論くぐってきました
・ 意外と茅の輪がある神社の参拝が少ない筆者
【狛〇】
・ 狛犬ならぬ、【狛狐】
・ 境内散策したが、狛犬は見当たらず(探し方が悪かったかな?)
・ 【耳欠け狐】が有名?
・ 昔滝奈川の水を巡って、当神社前で農民同士の大げんかがあったとか。その時の被害が狐さん
【キツネ】
・ 宇迦之御魂神の遣い
・ キツネは山と里との中間部に住む動物
・ 豊穣をもたらす山の神が人里に降りてくると田の神である稲荷神になると信じられてきた
・ そのことからいつしかキツネは稲荷神の遣いと呼ばれるようになっていく
・ 毛並みの色と尻尾が稲穂を想起させる
・ 五穀豊穣、商売繁盛、所願成就
【社殿】
階層 : 平屋造り
材質 : 木造
建築様式 : 平入り
屋根の特徴: 流造り
屋根の材質: 銅板葺
宮彫り : キツネ
木鼻 : 獅子
・ このタイプの屋根の様式は全国で最も多いとか
・ 木々に囲まれ、厳かな空気を出している雰囲気を持つ
・ 宮彫りのキツネは複数体彫られている。親子かな?
・ 宮彫り・木鼻・貫の箇所の彫刻が施されているが、全体的に煌びやかな絢爛さはなく、どっしりと構えた重厚な力強さを感じられる
・ 屋根は味のある、歴史を重ねたような色合いをしていた
【摂社・末社】
・ ここでも狛犬ではなく、狛狐が守っている
・ 【ウマ神社】
・ 止雨・祈雨、五穀豊穣、諸願成就
・ 神の乗り物として、古来より神聖な動物とされていた
御朱印について
あり
耳折れキツネをしっかりと再現している
まとめ・感想
元々は近くの【志和古稲荷神社】さんを参拝したときに、案内図があって軽く「近いしせっかくだから行って見よ」というものだった。
参拝してみたところ『日本三稲荷の一つ』(3つ以上あるが…)ということを知る。
鳥居には茅の輪があり「いろいろな神社行ってるけどあまり見たことないなぁ」と思い、早速説明文通りに通ってみる。他の参拝者も居なかったこともありゆっくりと。参拝者はいないが、社殿前ということもありしっかりと礼節を忘れずに。
境内は木々に囲まれ、参道脇のコケ。
どこかで狐さんが見ているような雰囲気を持つ不思議空間を、木々とコケが演出しているようにも思える場所。他の参拝者が居ないということもあるが、静かな雰囲気で落ち着いた参拝ができた。
軽い気持ちで訪れた場所だったが、此処に来れたのも何かの縁だったのだろうか?