神明宮(薄市観音堂)/住宅街の霊場
まだ雪も降っていないこともあり、あまり来ない地域の霊場巡りに…。
………ナビでもわかっていたが、駐車場が無いなぁ。数センチ隣に住宅。凄い立地にある札所だなぁ。
基本情報
神社名 : 神明宮
読み方 : しんめいぐう
霊場名 : 薄市観音堂
住所 : 青森県北津軽郡中泊町薄市山10-1
朱印所住所: 青森県北津軽郡中泊町薄市玉清水21-5(ライフショップしもやまさん)
御朱印 : あり
御本尊 : 千手観音菩薩
御詠歌 : まんまんと 眺めもあかぬ 十三の潟 千年をここに まつ風の音
建立年 : 元禄元年(1688)
創立者 : 不詳
その他 : 津軽三十三観音霊場15番札所
歴史
薄市山に境内を構える御堂。
元禄元年に薄市山山頂に千手観音を安置したのが始まりと伝わる。その一方で貞享4年(1687)に検地水帳に記載されていることから、それ以前から存在していた可能性もある。
寛延4年(1751)の記録には、既に【津軽三十三観音霊場第十五番札所】と記されている。
現在地に移されたのは寛政年間。参拝が容易で災害にも安全な場所として、現在地へと移されている。
その際に【飛龍大権現】が勧請されたことで神仏混合し、【飛龍宮】とも称されるようになる。
明治時代初頭に発令された神仏分離令と廃仏毀釈運動により、仏式が廃止される。
明治6年(1873)に【大山津見神】を祭神とする【大山津見神社(山神宮)】と改称。
廃仏毀釈の風潮が鎮まると、再び十五番札所として再興。
昭和45年(1970)に観音堂が再建された。
神明宮の御祭神
・ 大山津見命
御祭神の神格と御利益
【大山津見命】
・ おおやまつみのみこと
・ 古事記での記述
・ 日本書紀では【大山祇神】【大山積神】【大山罪神】
・ 読みは同じ
・ 山の神の総元締
・ 娘は木花咲耶姫や磐長姫
・ 諸産業から文化的な領域まで幅広い御神徳を持つ
・ 酒造の神らしい別称を持つ。【酒解神(さけとけのかみ)】
・ 娘である木花咲耶姫は炎の中で出産したという伝説がある。某ゲームのキャラクターの属性が『炎』だったのはここからかぁ
・ 木花咲耶姫は絶世の美女で『かぐや姫』のモデルとも
・ 木花咲耶姫の姉に当たるのが【磐長姫】
・ 木花咲耶姫とは違い不美人として描かれることが多い
・ 日本の国歌である【君が代】の歌詞のモチーフになった神様
・ 厳鬼山神社や岩木山神社に祀られる【大山祇神】と同一の神
《神格》
山の神、海の神、酒の神、軍神、武神
《御利益》
商売繫昌、試験合格、家庭平安、安産、厄除け、農産業種・山林業種・鉱山業守護、漁業守護、航海守護、商工業守護、酒造業守護
御本尊について
【千手観音菩薩】
・ せんじゅかんのんぼさつ
・ 頭上二十一面の顔をつけている
・ 正面では二つの手で合掌
・ 左右に20本。合計で42本の腕を持つ
・ 42本で表現されることが多い
・ 1本の腕で25の世界を救うとのこと
・ 40本×25世界=1000
・ 40本の腕を以って25の世界を救う存在だから、千手観音菩薩
・ 【合掌】とは、『左手が人間』『右手は仏手』
・ 左右の手を合わせることで『仏様と一つになり、平穏な心になる』という意味
・ 千手観音菩薩は【餓鬼道】を救う存在
【餓鬼道】
・ 『六道』の一つ
・ 【天・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄】で六道
・ 餓鬼道は『三悪道』になる
・ 餓鬼の世界のこと
・ 食べ物を口に入れようとすると火となってしまう
・ 故に、『飢えと渇き』に悩まされる世界
境内の様子
【一の鳥居】
笠木 : 水平
島木 : なし
木鼻 : あり
楔 : あり
額束 : あり
その他 : 笠木の断面が斜め
・ 大きくがっちりとした木造の鳥居
・ 笠木の形状が特徴的
・ その特徴から神明系鳥居の【宗忠鳥居】
・ 笠木の数センチ横に民家の屋根
・ なんだか無理矢理鳥居をはめたような感じがする
・ 手前の霊場札所の石碑に比べると新しく感じる
・ 額束の裏側を見ると『令和三年…』とある。2年ほど前のものらしい。そりゃぁ新しいわな…
【狛犬】
髪・眉 : 前髪がカールしており眉は隠れている
口・歯 : 口周りにふちがあり唇か。歯らしきものは見える。牙は丸くなっている
髯 : 唇下に顎髭らしきものがある
耳 : 一部崩れているが伏せ耳
目・鼻 : 楕円形の目を見開いたような形。鼻は獅子鼻。鼻の穴なども削れているのか見えず
毛・尾 : 立ち尾。毛並みは体に張り付き、一部はカールしている
手足 : ずんぐりとした手足。力強さが垣間見える
姿勢 : 背中を伸ばした感じのお座り
・ 一部風化したのか削れている箇所が見える
・ 風化した個所もあるが、来訪者を警戒するような眼力の強さを感じる
【二の鳥居】
・ 一の鳥居同様に神明系鳥居の【宗忠鳥居】
・ 一の鳥居に比べて古い感じがする
・ 古い感じではあるが、みすぼらしい姿はしていない
【参道】
・ 参道………階段
・ 平成9年に氏子さんたちにより改築されたとのこと
・ さらには昭和40年までは階段ではなかったらしい
・ 歩きやすい階段。手すりもあって安心
・ 途中からタユンタユンしている階段に…
・ 三の鳥居を過ぎると、観音堂までは山道
【三の鳥居】
・ 一・二の鳥居同様に【宗忠鳥居】
・ 下の鳥居に比べると頼りない感じがする
・ 頼りないというか、斜めっている
・ ここからは山道になる
・ ここからが観音堂の入り口か?
【大山津見神社】
・ 三の鳥居前にある
・ 観音堂と違い此方は入れず
・ 観音堂に比べて階段が新しいような気がした
・ 階段と手すりが無ければ、普通に山道
・ 建物は観音堂同様にプレハブ
【観音堂・御社殿】
・ プレハブ小屋のような観音堂
・ 外観は普通の小屋のように見える
・ 無人だが周りは綺麗。ベンチもあった
・ ここからの眺めは最高。観音様も見ている景色か?
・ 街を見渡せる
・ 観音堂内はしっかりと整理されている
・ 内部には安定のだるまストーブ
・ 観音様と関係あるモノ以外は何もないような内部
・ 外は寒く、中もストーブはついていないが、何だか元気だ湧くような感じがした
・ 道中(山道)の無事をお願い後にする
御朱印について
・ あり
・ 観音堂内には無い
・ 近所の《ライフショップしもやまさん》でいただける
・ しもやまさんのお店の隣には駐車場があるので車で来訪しても大丈夫
まとめ・感想
13・14・15番札所の霊場を………と思ったが、どおうやら14番札所を飛ばしてしまったらしい。知らない道を走るのは難しいなぁ。飛ばしてしまったのはしょうがないと思いつつ、13番札所→15番札所へ!
集落に行きつくがよくわからずに、同じような場所をぐるぐると散策。その後無事に札所を見つける。
霊場という神聖な厳かな空間…と思っていたが、場所は住宅街に溶け込むような場所だ。
鳥居を二つくぐると階段の参道が…。
歩きにくくはなく、しっかりと整備されている。登っていくと分かるが、階段の下に民家。民家の裏手にあるのが観音堂という雰囲気。
山道の参道も獣道ではなく、自然を残した山道。歩きやすくはないが、普通に歩ける道………天気さえよければ。
観音堂の外観は普通のプレハブ小屋だが、中に観音様が安置されている。こういう形ではあるが、霊場としてしっかりと残っている観音堂も良いかもしれない。無人で朽ちていくよりも、しっかりと建物として残る御堂のほうが、観音様も安心できるのではないだろうか?
津軽三十三観音霊場巡りで欠かせないモノ
・ 御朱印帳は勿論
・ 基本的に無人。朱印所には書き置きもあるが、殆どが自身で押印するモノが多い
・ 筆者は赤のスタンプ台も持ち歩いている
・ 津軽三十三観音霊場の住所や情報が記された下記の本も参考にしている