遠光寺/もみじ山近くにある温泉郷
温湯にあるという日蓮宗の寺院。
老人ホームに入っている祖母が時折思い出したかのように離される寺院が、温湯にあるとか。行くしかない、と思い訪問することに。
基本情報
寺院名 : 遠光寺
宗派 : 日蓮宗
山号 ; 壽量山
正式名称 : 壽量山 遠光寺
住所 : 青森県黒石市温湯鶴泉31
御首題 : あり
開山 : 佐藤式部
開山年 : 寛永元年(1624)
御本尊 : 釈迦牟尼仏
その他 : 温湯温泉郷内にある
歴史
元々は【本照院】という。
寛永元年に石名坂から移住し、当地にて新田を開拓した佐藤式部氏が建てたもの。
その後は廃院となったが、秋田佐竹公譜代藤原十太夫の臣下である伊藤氏が延宝7年に横手から来訪。その後在住されること四十有余年。出家して道久と改める。
正徳5年に、再興し【道久庵】と名付けるが、衰微してしまう。
明治3年に黒石妙経寺十三世日堯上人が復興。名称を【遠光庵】と称した。
明治12年に【遠光寺】に改め、現在の二十二代目へと続いていく。
現在の本堂は昭和10年に十一代目日東上人の新築。
庫裏は昭和48年二十二代目日弘の改築。
年中行事
4月19日 : 七面天女祭禮
7月15日 : 妙見大士祭禮
9月12・13日 : 宗祖日蓮御会式
冬至3日間 : 歳祭祈禮
七面天女とは?
・ 七面大明神のこと
・ 日蓮宗系において法華経を守護する女神
・ 日蓮宗の総本山・身延山久遠寺の鎮守神
・ 法華経の守護大善神
・ 日蓮聖人が説法中二流の姿で現れる
・ 身延山の裏鬼門を抑え、身延山を守護する護法神
・ 鬼門を閉じ、七面を開く
・ 『法華経を信仰する人を守護し、その者の願いを満足させる』と、誓ったことから日蓮宗では広く信仰されている
《御利益》
勝負運、厄除け、病気平癒
御本尊について
【釈迦牟尼仏】
・ しゃかむにぶつ
・ 釈迦如来のこと
・ 釈迦牟尼如来、釈迦牟尼世尊と同じ
・ 釈迦如来には【三十二相】と呼ばれる『お釈迦さまはこんな人だった』という特徴32個を表現するものがある
・ さらにそれを細かく表現した【八十種好】が存在する
・ 髪と瞳が青く、身長は4.8メートルなど
・ 下は大きく柔らかい。出すと顔全体を覆う
・ 清潔な歯が40本ある
・ 耳は肩に着くくらいに大きく、耳たぶには穴が開いている
・ 釈迦如来の見た目は、冠や装飾品を身に付けない質素なお姿をしている
・ 理由としては『悟り』を開いた姿のため
境内の様子
【御題目石】
・ 門前にあり
・ 山門はない
・ 砕けたり、薄くなっている様子はない
・ 門構えは普通の家のようなモノ
【参道】
・ 門から入り、直線で御社殿へと続いている
・ 参道入り左に寺務所
・ 右側には庭園と高祖日蓮聖人の石碑
・ 参道は綺麗に整備されている
【石碑・石塔】
・ 塔は7段
・ 3つの石碑には【日蓮大菩薩】と彫られている
・ 【六百遠忌】と【六百五十年遠忌】とある。少なくともこの寺院が開かれて五十年以上は建っていることが良くわかる
・ 寛永年間から開山されていることがわかっているが、五十年も長い年月を感じられる
【庭園】
・ 小さいながらも立派な庭園有り
・ 鶴………うん、鶴だな
・ 季節によっては樹々が色づいて見ごたえあるのだろうか?
【御本堂・本堂内】
階層 : 平屋建て
材質 : 木造
屋根の特徴: 妻入り
屋根の形式: 入母屋屋根
屋根の材質: 色合いから銅板葺?
木鼻 : ゾウ
その他 : 千鳥破風
・ 破風の下には独特な色合いになっている懸魚がのびている
・ 温泉街ということもあるのか、屋根の色合いも緑青
・ 華やかさからは遠いだが、街並みに似合っている存在
・ 堂内に入ると、玄関に大きなカラフルなひょうたん
・ なんだかありがたいような気がしてくる
・ 外観同様に内部も煌びやかで豪華絢爛さは見えない
・ 物がごちゃごちゃしておらず、広々とゆったりとしているように見える
御首題について
あり
まとめ・感想
筆者が最後に温湯に来たのは数十年前。そのころはもう少し活気があったと記憶している。
温湯温泉郷への入り口もそうだが、どこか寂れた感じがした。良い言い方だとレトロな雰囲気が出ている。
温湯の入り口を入ってすぐのところに当寺院は存在する。
近くに駐車場があり、車を降りると独特な匂いがするが、青森県は温泉が多く存在するためあまり気にはならない。どこか懐かしささえ感じられた。
『温泉郷』と言っても所狭しと温泉があるわけではなく、住宅街の中に温泉が点在しているような風景が広がる。何だったら寺院裏手には稲穂がゆれていた。
筆者の母親が昔に温泉郷を訪れた際に、日蓮宗のお寺があるようなことを話していた。そんな曖昧な記憶を頼りに訪問することに。
意外にも寺院は直ぐに見つけることができ訪問。
よくある神社や寺院の屋根とは違い、少々緑が掛かった色をしていた。
温泉郷は昔に比べて活気が少なくなった・寂れたといわれている。しかし寺院の方も…とはならずに、綺麗な境内と庭が存在していた。
拝殿内も外同様に整理されており、入口には立派で華やかなひょうたんもお出迎えしてくださる。
境内内外の雰囲気は、臭いさえ気にならなければ落ち着いた静かな場所だった。元々大通りから離れていることもあり、車通りも少ないことも静かな理由なのだろう。
落ち着いた雰囲気の湯治や、昔ながらの建物の旅館も点在している。もう一度ゆっくりと散策してみようかな、と思う。