飯詰八幡宮/御朱印の力強い字体はパワーを感じる
基本情報
神社名 : 飯詰八幡宮
読み方 : いいづめはちまんぐう
住所 : 青森県五所川原市飯詰福泉148−1
御朱印 : あり
建立年 : 建立年は不詳だが、承応元年(1652)に再興
創立者 : 大坊というところの館主・樺沢団右衛門
その他 : 平成6年に本殿が青森県重要文化財に指定
歴史
八幡宮は縁起によると古来より飯詰村の近郊にあった大坊というところの館主・樺沢団右衛門が勧進したという。
その後は祭主が居なくなり荒廃した。
承応元年に村中にて再興したものと伝えられる。
宝永2年(1705)に、参拝には不便なことから現在地に移転し、新祭再建される。
安永3年(1774)に飯詰組27ヶ村の祈願所に指定される。
宝暦元年(1751)に再建されたものが現在の本殿。
宝永2年及び宝暦元年の棟札写しが、社蔵記録として保存されている。
愛宕宮と合祀してからは、上愛宕宮と称していたが、明治4年(1871)に八幡宮と社号を改称し愛宕宮を合祭する形式に変更。
明治6年(1875)に石田坂村白山姫神社を遷座し郷社に列する。
明治7年(1876)に神官である松野博が拝殿を利用し寺子屋を開設している。
現在も社務所で似たような寺子屋が開かれている。
御祭神
・ 誉田別命(ほんだわけのみこと)
・ 天照大御神(あまてらすおおみかみ)
・ 軻遇突智(かぐつち)
御祭神について知ろう!
【誉田別命】
・ 別名として『応神天皇』や『八幡神』としても知られる
・ 戦前までは武神として崇敬
・ 戦後は縁結びや日常生活に根差した諸願成就の神様へと変化
・ 日本文化の基礎を築き源氏の守護神として全国に広がる
【天照大御神】
・ 伊邪那岐命が日向の海で禊をした際に、左目をすすいだ時に生まれた神様
・ 『天照』は『天に照り輝く太陽』と意味をする。その名の通りに【太陽神】
・ 伊邪那岐は誕生を喜び、自身の首の玉飾りを天照大御神に掛け命ずる。『高天原を治めなさい』と。
・ 高天原に住み、田畑を耕し、養蚕を興し絹糸の生産法や織物の技術を授けて統治する
・ 『日の神』というイメージを持つことから、皇室の祖神とされ、日本人の総氏神
・ 別称【お伊勢さま】
・ 神徳は万能で様々な御利益を持つ
【軻遇突智】
・ 加具土命
・ 火の神様
・ 伊邪那美神が産んだ最後の御子だが、火の神を産んだことが原因で伊邪那美は亡くなった。これに怒った伊邪那岐に切り殺される
・ 斬られたカグツチの体や血から、岩石の神・火の神・雷神など様々な神が産まれた
・ 防火の神、鍛冶の神、陶器の神の神格を持つ
・ 【軻遇突智】は『日本書紀』での名称
御神徳
【誉田別命】
成功勝利、国家鎮護、殖産産業、家運隆昌、子孫繁栄、厄除け、悪病災難除けなど
【天照大御神】
開運隆盛、勝運、健康祈願、子孫繁栄、国土安泰、国家安泰、諸願成就など
【軻遇突智】
鎮火・防火、火難除け、郷土守護、陶器業守護、金運向上、開運招福、交通安全、鉱業守護
境内の様子
【拝殿前の鳥居】
笠木 : 水平
島木 : なし
木鼻 : あり
楔 : あり
額束 : あり
その他 : 笠木の断面が下方に斜めになっている
・ 木造
・ 朱色もない木の味わいが感じられる
・ 特徴から神明系鳥居の【宗忠鳥居】
【社務錠前の入り口の鳥居】
笠木 : 反り増しあり
島木 : あり。反り増しあり
木鼻 : あり
楔 : あり
額束 : あり
その他 : 柱の前後に稚児柱がある
・ 特徴から明神系鳥居からの発展形【両部鳥居】
・ 神仏習合の歴史がある神社に多いとのこと
【手水舎】
・ 簡単な造り
・ 四脚ですらなく、2本の柱で造られている
・ レトロな蛇口の上にはカモかな?
・ 桶の淵には白いワンコ
・ 他では見られない組み合わせ
【社殿横の入り口にいる狛犬】
髪・眉 : 前髪がカールしており眉が見えない
口・歯 : 特徴的な口。吽形でも牙が目立つ。牙は上下に付き、吽形の口内からは舌まで見える
髯 : 立派にカールした髯
耳 : 伏せ耳で、横に膨らんだようになっている
目・鼻 : 楕円形の瞳。鼻も目立つ大き目の獅子鼻
毛・尾 : 毛並みは体に張り付いている。尾は立ち尾で、先はピンと張っていない
手足 : ピンと前足を伸ばし、足先が浮いている
姿勢 : 猫背にならずに、良い姿勢を保っている
・ 狛犬というよりも、下から見上げた姿はライオンのようにも見える
・ 特徴的な顔の造りをしている
・ 他では見かけたことがない
【拝殿前の狛犬】
髪・眉 : 髪は腰まで伸び流れている。前髪カール。眉は隠れている
口・歯 : 唇は目立つ。牙は上下にあるが、他の歯は見えない
髯 : 顎髭と唇の上にも髭がある
耳 : 大きいが伏せ耳
目・鼻 : 楕円形の瞳。大きな獅子鼻
毛・尾 : 毛は体に張り付いている。尾は立ち尾。炎のような尻尾をしている
手足 : 手足はがっちりとしている。肉付きが良く、短足のように見える
姿勢 : ちょこんと座っている
・ 吽形の狛犬の尻尾が炎の様に揺れているように表現されていた
・ 対して唖形の尻尾は普通に見えるが、毛並みが風に靡いているように見える
【ウマ】
・ 神様の乗り物で、神の願いを届ける
・ 降雨・止雨を願うときに奉納されていた
・ 降雨の時は黒馬、止雨の時は白馬
・ 平安末期までは本物の馬を奉納していた。それ以降は土などで造られたウマ。さらに簡略化されて絵馬奉納に繋がっていく
【摂社・末社】
【大山祇神社】
・ 入り口前の鳥居と同じく神明系鳥居の【宗忠鳥居】
【狛犬】
髪・眉 : 前髪が太くカールしている。眉は隠れている
口・歯 : 赤い縁取りの唇が見える。4本の牙、四角い歯が並んでいる
髯 : 顎の下から髭が伸びている
耳 : 伏せておらずに斜め上に立っている
目・鼻 : 黒い瞳も入っている。鼻は大きな獅子鼻
毛・尾 : 毛並みは力強い。尾も太く力強い立ち尾
手足 : 筋肉が付いているような太い手足
姿勢 : 胸を張っているような堂々とした姿勢
・ 本殿の狛犬よりも堂々としている
・ 強そう
・ 唖形の目力が強い
【拝殿】
・ 入ってすぐに神社名が掲げられている
・ 入口傍に『賽銭泥棒』に言及した張り紙がある。罰当たりで、神社に何をしに来たのか不思議でならない
・ 建物は物置小屋のように小さいが、中は小さいながらも立派な祭壇も設けられている
・ きれいに整理されており、大事にされていることがわかる
【社殿】
・ 流造
・ 木鼻・海老紅梁などの質素ながらも、目立たないところまで施された彫刻は見るべき箇所
・ 斗栱の組み方も、日本独自のもので、さらにそこに刻まれている彫刻にも注目して欲しい
・ 18世紀半ばに建立されたという歴史的な価値もあるが、細部に施された彫刻は素晴らしいだろう
・ 貴重な遺構ということもあり、平成6年には青森県重要文化財に指定されている
・ 拝殿内は入ることはかなわなかったが、賽銭用の覗き穴から内部を
・ 明るい光を取り入れられる構造。日の神様を迎え入れるにはちょうど良いのか?
御朱印について
あり。
社務所と兼務されている寺子屋にて頂ける。
初穂料は300円
※金木八幡宮の宮司さん曰く『在宅なの珍しいなぁ。忙しい人だからなぁ』とのこと
まとめ・感想
飯詰八幡宮のある通りには数多くの神社や寺院が存在している。そのうちの一つが当神社となる。
規模は小さく、社殿は素朴な造りだが、木鼻や紅梁、斗栱などに施された彫刻は素晴らしい。
本殿の説明書きを読むと、
向拝柱に粽がついていることが珍しいとのこと。帰宅後に粽について調べるが、どこの部位なのかが何となくしか分からなかった。そのためふんわりとしか『県重宝に指定されるくらいに珍しい』としか感想を抱けないでいる。
境内は閑静な住宅街の一角にある神様の憩いの場、というような雰囲気の場所。
境内をぐるりと樹々で覆われているが、真ん中は太陽が入り明るい。
境内まで車で出入りできるため、足腰に自身が無い人も参拝できるだろう。ただ砂利なので、車いすなどだと危険を伴いそう。
参道前の鳥居は両部鳥居だが、拝殿前の鳥居は宗忠鳥居。この形式の鳥居は中々県内でも見れないため、参拝時に見たり触れたりするのも良いのかもしれない。